平治煎餅ってのが
あるんです。
三重県は津市の名産ですね。
お土産にいただきました。
なぜか、畳の上。
笠の形をした
小振りな煎餅で、
普通に美味しく
いただきました。
いただいたのは
箱入りのものです。
箱の中にはしおりが
入っていて、
平治煎餅が
笠の形をしている
「いわれ」が
書いてありました。
悲しすぎる。
うまい、うまいと、
ボリボリ食べれなく
なってしまった。
話の内容は次のようなものでした。
今の津市の阿漕(あこぎ)
というところに
平治という漁師が
母親と妻子4人で
暮らしていました。
生活は楽ではありません。
あるとき、母親が
かぜをこじらせて
病が重くなりました。
しかし、医者にかかる
お金はありません。
日に日に弱っていく
母親を放っておけず
ついに、伊勢神宮御用の
禁漁区であった阿漕海岸で、
魚を捕り母親に
食べさせるようななります。
その甲斐もあって、
母親の病状は、だんだん
良くなっていくのですが、
やがて、禁漁の法を
犯しているものがあると
噂ががたち始めます。
それでも、母親に
魚を食べさせたいがために、
漁をやめませんでした。
そして、ついに、
見つかってしまいます。
慌てて逃げ帰ったのですが、
その際に、笠を
置き忘れてきてしまうのでした。
結局、それが証拠となり、
平治は捕らえられてしまいます。
平治は潔く、
ことのいきさつを
白状しました。
役人は、その事情を
察するのですが、
どうすることもできず、
彼は簀巻きにされて、
阿漕海岸沖の海に
沈められてしまうのでした。
この話は伊勢では
有名なのだそうです。
能にも「阿漕」という
演目があるのです。
こちらの話は、
親孝行な息子の
話ではないのですね。
伊勢参りに出た
九州の僧侶が、
阿漕の海岸で
出会った
とある老人から、
地名のいわれについて
話を聞きます。
それは、
禁漁の掟を破って
漁をした「阿漕」という
漁師が、この海岸の
沖に沈められた
という話でした。
なので、この辺りを
阿漕というのだと。
実は、その老人こそが、
「阿漕」の霊だったのです。
老人は死してもなお、
罪を償っている苦しさを
僧侶に訴え、助けてくれと
と頼むのでした。
重すぎる。
やっぱり、
ボリボリ、食べられないですね。
「あこぎなヤツ」
の「あこぎ」は、
ここから来ているようですよ。
昔は、
「度重なれば、ばれる」
みたいな意味合いだったそうで、
それが今では、
「無慈悲な」、「あくどい」
というような意味で
使われているとのことです。
そして、伊勢では
「アコギなヤツ」といえば
親孝行な息子を言うと言わないとか。
まあ、それは、冗談ですが
いろんな話があるんですね。
でわ、また。