恩田陸の「三月は深き紅の縁を」という本を読みました。
恩田陸にとってはデビュー作の「六番目の小夜子」から数えて4作目といいますから、彼女の最初期の作品ですね。1997年の刊行です。
今から二十数年も前の彼女の作品を、なぜ今ごろになって読んだのかと言うと、そもそも、彼女の作品を読むようになったのがここ2年ぐらいのことなんだからですね。名前を知ったのは「蜂蜜と遠雷」で賞をとってからでしたし・・。
で、次に何を読もうかなと思っていたところ「理瀬」シリーズというものがあると知りました。「三月は深き紅の淵を」「麦の海に沈む果実」「黄昏の百合の骨」「薔薇のなかの蛇」の4作ですね。「薔薇のなかの蛇」は昨年刊行された本で、17年ぶりの「理瀬」シリーズということで話題にもなっていたようですが、そんなことは知らずにいて、読んでもいませんでした。ある意味ラッキー(笑)。
装画はすべて「北見隆」サンですね。これもイイです。
じゃあということで、手を着けたということなんです。
この作品、よく言われているのが、
外側と内側が存在する。
ということです。外側とはもちろん、本書収録の4つのストーリーのことで、単なる短編集でないのは、各ストーリーに共通モチーフ(帽子と革のトランクの男)が登場するということでしょうか。そして、共通して「三月は深き紅の淵を」という本の存在が、明示されています。なかなか凝った構成ですよね。
この4つのストーリーとは、
・待っている人々
・出雲夜想曲
・虹と雲と鳥と
・回転木馬
です。
「待っている人々」に出てくる「三月は深き紅の淵を」にも4つのストーリーがあることが書かれていて、その一つが「黒と茶の幻想」だったのには、なぜか感動しました。そして、後に刊行された同タイトルの作品を読んでしまっていたことをなぜか後悔しましたね(笑)。
他のストーリーも面白く読んだのですが、私が特に興味を惹かれたのが、最後の回転木馬でした。この中では異質です。他の3つと異なり、小説としては未完の、まさにこれから書こうとしている作家の頭のなかをぐるぐると描写しているようなカタチになっていると感じました。
まさに回転木馬ですね。そしてその描写の断片のなかに「理瀬」がいるわけなんですよ。彼女の作品の「麦の海に沈む果実」を読んでみて初めて、コレが理瀬シリーズの最初なんだなと実感できました。
残りの2作、「黄昏の百合の骨」「薔薇のなかの蛇」も怒濤のように読んだのは言うまでもありません(笑)。なにしろ冬はお庭で遊べないんでね。
振り返ってみると、恩田陸さんの本を読んだ話をしているのは、昨年も今の時期でしたね。体動かさなっきゃ!
それにしても彼女は読書家なんだなというのが、どの作品を読んでも感じられますよね。スゴイわ。
でわ、また。
最後までお読みいただき、
ありがとうごさいます。