立体音響技術というと、古くはいわゆるスピーカー2個によるステレオ方式なのでしょうけど、人間の欲望というのは限りがなくて、左右前方からの音だけでなくコンサートホールでの臨場感そのものを再現できないかと考えるようになった、のだと思います。
特に、ステレオラジカセなるものが幅を利かせはじめた頃、まずは、狭いスピーカー幅を広げる疑似サラウンドのような機能が付いた製品が出てきました。そういう製品の一つにバイホニックなる技術を積み込んだラジカセがありました。RC-828。7万近くしたラジカセです。サラウンドという割には、後ろからはっきりと音が聞こえてくるようなことはなかったと思いますが、スピーカーの外側から音が聞こえてくるというのには、当時、びっくりしました。
なぜそんなことを言えるのか。
持っていたんです、それを。
当時、我が家は、そんな高級な物を子供に買えるような環境ではありませんでしたが、母親が、商工会のくじ引きで1等賞を当ててきて、その景品がたまたま、それだったのです。うれしくてうれしくて、QUEENのプロフェッツソングなんかテープが擦り切れるほど聴きましたよ。あれは、これでもかというぐらい、ステレオを意識してありましたからね。
- アーティスト: Queen
- 出版社/メーカー: Hollywood Records
- 発売日: 1991/09/03
- メディア: CD
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そのうち、この、バイホニックなる技術が、レコード作成にも使われるようになります。バイホニックミキシングとかいうもので、普通のステレオ装置で聴いても、疑似サラウンドを体験できるという触れ込みだったと思います。
そのアルバムが、一枚残っています。前置きが長くなりましたが、今回は、ソイツの話です。
エアー・サスペンション・クラブ・バンドの「アナザー・ワールド」というアルバムです。ジャケットには、1982とあるので、おそらくその年か翌年の発売でしょう。
「All songs composed,arranged by Mr.Theodore」と書いてあるのですが、誰?
ライナーノーツが残ってないので、詳しいことは判らないのです。CDでも出てないみたいですし。
でも、チープな僕のオーディオ装置でも、スピーカーの外側から音が聞こえる感じがします。
さて、そんなアルバムなんですが、A面が、American Side B面が、European Sideとなっていて、全体的にはユーロ・ディスコというか、フュージョンというか、そういうイメージに仕上がっているのではないかと思います。スローな曲もありますけどね。
American Side は、車のエンジンの始動音から、軽快な曲が始まります。朝の8時に車で出かけて夕方には海岸に到着するというストーリーですかね。曲のタイトルは、
1.Start From Indianaporis At 8a.m.
2.In The Hot City
3.Daydream
4.Seaside In The Twilight
European Sideは、ちょっと湿り気のある、それでいて軽やかな曲が続きます。曲のタイトルは、
1.Neo Romantic England
2.Jack In The Box
3.Rose Nebulous
4.Lunatic
個人的には、A面1曲目のStart From Indianaporis At 8a.m.が一番です。
ネットに何曲かあるようなので、聴いてみてください。その時の音が再現できるかは
わかりませんけど。
30年も前の技術でも「バイホニックは別世界」の音が聴けるというお話でした。
でわ、また。