この曲が心地よい!

ふと知り合った、自分に心地よいメロディー それらを紹介しています そしてときどきガーデニング、のつもりがガーデニングがメインになっています。

この時期に、山アジサイの話。

先日、「ザリガニの鳴くところ」という

本の話をしたところです。

www.kokochiyoi-blog.com

 

だからというわけでもないんですが、

とある園芸店にも

「ザリガニの鳴くところ」

と言っておかしくないところが

あるんですね。

 

まだお読みでない方のために

補足しておきますと、

「ザリガニの鳴くところ」とは、

茂みの奥深く、

生き物たちが

自然のままの姿で

生きてる場所

という意味だそうです。

 

旬の時期も過ぎた、

売れ残りの鉢なんかが、

お店の奥深くで

ところ狭しと並べられ、

自然のまま生息している

一角があるわけです。

 

並べられた鉢は、

もはや値札も読めないくらいに

薄汚れてしまっています。

お店の方に売る気が

あるのかないのかさえ、

判然としない、そんな雰囲気ですね。

 

かといって、それらの植物が

再起不能なのかというと

そうでもないわけです。

自然のまま、生きているのです(笑)。

 

そして、結構

興味が引かれるものが

あったりするんですね。

 

なので、私は、時々その

「ザリガニの鳴くところ」を

徘徊するわけです。

 

今回そこを徘徊して

手に入れてきたのは

ヤマアジサイの

「七段花」であります。

「しちだんか」と読むようですね。

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本当は、今年枯れてしまった

同じヤマアジサイの

「紅」がないかと

期待していたのでしたが、

残念ながらソイツは

ありませんでした。

 

レジに持っていくと

どうもお値段がわからないらしい。

鉢のバーコードも

剥がれちゃってますからね。

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「何処にありました?」

「外の一番奥の方です。」

「あー、あそこですか。」

店員さんがニヤリ。

私もニヤリ。

店員さんのニヤリの意味は

分かりませんでしたが、

私のニヤリは、

こんなもの持ってくる客は

外にいねーだろーの

勝ち誇ったニヤリですね。

 

まあ、もしかすると

店員さんのニヤリも、

阿呆がまた引っ掛かりやがったの

ニヤリかもしれませんが。

 

別に値段は、

特に安くなっていたわけでは

なかったようですが、

でも350円ですからね。

いいんじゃないですか。

 

買い求めてから、

ヤマアジサイの

「七段花」について

調べてみると、

目に飛び込んできたのは

シーボルトの「日本植物誌」でも紹介されていた幻の花

というキャッチコピー。

 

ぬぁんですと!

そげなモノがなぜ

ザリガニの鳴くところに・・!

 

よく調べてみると、

シーボルトの日本植物誌には

七段花の記載があるのに、

長い間、それに該当する花が

見つからなかったそうですね。

なので、幻の花と言われていた。

 

ところが、1959年に、

兵庫県でひょっこりと

見つかったのだそうです。

見つけたのはフツーの

学校の先生だったとか。

 

そしてそれが今は、

市場に出回っていると

こういうことのようです。

 

そうなのか、

びっくりしたぜい。

 

よく考えれば鉢に

量産化されたラベルが

ついているのも

おかしな話ですわね。

 

試しに、シーボルトの

日本植物誌と検索してみると

「京都大学貴重資料デジタルアーカイブ」

なるサイトで、

その本を見ることができます。

良かったらのぞいてみてください。

rmda.kulib.kyoto-u.ac.jp

解説文はp112~、

図版はNo.59が七段花の

もののようです。

そうしたサイトは、

ほかにもあるようですね。

 

また、福岡県立図書館郷土資料室の

日本植物誌のサイトには、

本文はミュンヘン大学の植物学教授ツッカリーニが分類学的所見をラテン語で書き、シーボルトはフランス語で植物の自生地・分布・栽培状況・日本名・利用法などを書いた。

とありまして、

なんか読めねえなと思ったのは、

当然なわけでした。

 

和名は、萼片が七段に重なる

というところからきているようで、

花の色は淡い青色ですが、

薄紅、濃紫、藍色などに

変化するようです。

ちなみに植物誌の

原本の七段花の図版は、

これですね。

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資料の一部分です。

解説文はこれです。

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いずれも出典は👇

Flora Japonica, sive, Plantae quas in Imperio Japonico collegit, descripsit, ex parte in ipsis locis pingendas curavit Dr. Ph. Fr. de Siebold

京都大学理学研究科生物科学図書室所蔵

 

本文の上の方を

詳しく見てみると・・・。

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「Nomen  japon. Sitsidankw'a」

とあるのが読めます。

 

このラテン語の部分は、

ツッカリーニという人が

書いたそうですね。

植物学的な記載があるとのことでした。

 

シーボルトは、

このあとに、覚書を

フランス語で

書いているようです。

 

八坂書房から出ている

「日本植物誌 本文覚書篇」

というのを借りてきました。

シーボルト 日本植物誌 本文覚書篇

シーボルト 日本植物誌 本文覚書篇

 

葉はヤマアジサイと類似点があるが、葉の先端はそれほど尖っていない

とか、

「花の大部分は装飾花からなっており・・・八重咲きになっている。

とか書かれているようです。

 

なんか面白いモノを

手にいれた気ががしています。

 

これは大事に育てねば。

 

「紅」のこともあるので

自信はありませんが

来年、花を見れるように

頑張るつもりです。

 

ま、地植えするだけなんですけど。

っていうか、植えちゃったんですけど。

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大きくなってね。

 

先ほどの兵庫県で発見されたと

書きましたが、それは

どうも六甲山のようです。

六甲高山植物園や

神戸市立森林植物園のHPなどに

そのような記載がありました。

また、これらの植物園には

七段花の群落もあるようです。

これは、見に行かねば。

 

でわ、また。

最後まで、お読みいただき

ありがとうございました。