お元気ですか。
今回は、ジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau)のお話です。彼はアメリカのピアニストで、1970年生まれ、若いと思っていましたが、もう、50近い?(2017現在で)ですね。
ビル・エヴァンスの後継者などというコメントを目にしたことがあるのですが、出典がどこであったかは、もう定かではなく、思い込みの状態。残念。
デビューしたのは1995年で、アルバムは「Introducing Brad Mehldau」というんですが、実は、僕がこのアルバムを聴ことになるのは、彼を知ってから、かなり後のことです。どうでもいいって? まあ、そう言わずに。
メルドーと出会うまで
僕は、学生時代からパット・メセニー(Pat Metheny)のファンでして、彼のアルバムは大体チェックしています。そんなアルバムの中に、「Metheny-Mehldau」(2006年)というアルバムがありました。メルドーって誰よ、アメリカのピアニスト?、そうなんだ、っていう感じでした。アルバム自体はとてもいいアルバムで、メセニーのアルバムの中でも僕の中では相当気に入っている部類に入っています。
ところが、翌、2007年にまた、「Metheny-Mehldau Quartet」というアルバムがでます。メセニーの作品ですから当然のように買い求めるわけなんですが、ここで、ふと気が付くわけです。メルドーっていうピアニストの存在感に。この人って、良いんじゃねーの、と。
で、彼のリーダーアルバムってあるのかなと、そうして、前出のデビューアルバムに至るわけですよ。
最初に聴いたのは
一気に3枚聴きました。デビュー作と「The Art Of Trio」(1996年)、「Elegiac Cycle」(1999年)です。
デビュー作は、玄人好みの内容で云々という批評などもありましたが、そんなことはないのではないかと。ピアノのお好きな方には,お薦めできるアルバムだと僕は思うんですがねえ。
また、「The Art Of Trio」は、僕にはとても聴きやすい、良いアルバムだと感じました。落ち着いた、オーソドックスなトリオの演奏を聴くことができると思います。
「The Art Of Trio」から「Blame It On My Youth」を
お薦めの「Elegiac Cycle」
これに対し「Elegiac Cycle」は、ピアノ・ソロなんですが、聴きにくいというか何というか、そういうモノがあります。わざと不協和音を入れているみたいな評を目にしたことがあって、なーるほどと。でも、聴けば聴くほど、それが癖になるというか、そこが気に入るというか、そういうアルバムだと感じました。ジャケットも好きですね。今では、むしろ、お薦めの一枚といっても良いかなと、思っています。
- アーティスト: Brad Mehldau
- 出版社/メーカー: Warner Bros / Wea
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これらのアルバムを聴いてから、僕においての彼の序列は一気に上昇。少ない小遣いに占める割合が暫くの間、高止まりすることになるのでした。勝手にしろよってですか?
そんなこと言わないで、もう少しお付き合いを。
スランプがあったようだ
その後、「Places」(2000年)、「Largo」(2002年)など、リリース済みのアルバムを聴いていくのですが、この辺のアルバムは、あまり好きではありません。なぜかと思っていたところ、disk Unionの商品レビューから次のようなコメントを見つけました。
「天才」の名を欲しいままに、衝撃のデビューから順調な成長を遂げてきたメルドー。勿論本人にしか知りえない苦悩は数知れないものだっただろうが、個人的にはそのようにみて来たアーティストである。そんな印象が変り始めたのが、順風満帆に見えたアート・オブトリオ名義から離れ、ゲストも迎えての「LARGO」そして「ANYTHING GOES」からである。この2作にはメルドーの試行錯誤や苦しみもがく、成長過程の痛みのようなものが見え隠れしていた。
吉祥寺ジャズ&クラシック館 水野悠
たまたまなんでしょうけれども、そういうことなのか、と妙に納得しました。
一番のお気に入り
で、最近の彼のアルバム(2016年の「Blues And Ballads」まで)も含めて一番いいなあと思うのは2005年の「Day Is Done」です。
1曲の「Knives Out」は、イギリスのロックバンド、レディオヘッド(Radiohead)の曲です。2001年の「Amnesiac」というアルバムに収録されています。彼は、このバンドがよほど好きなのか、前のアルバムの「LARGO」ーParanoid Androidーや「ANYTHING GOES」ーEverything In Its Right Placeーでもカヴァーしていました。今作での仕上がり具合はグッドだと思います。
3曲目と7曲目にはビートルズの「Martha My Dear」と「She's Leaving Home」が収録されています。ビートルズの1968年の「White Album」と1967年の「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に収録されている曲ですね。9曲目には、ポール・サイモンの曲が入っています。 「Fifty Ways To Leave Your Lover」~恋人と別れる50の方法~は、オリジナルの方は大好きでよく聴くのですが、なんかすごいカッコイイ曲になっちゃっています。
この中では、「Knives Out」が一番気持ち良いですかね。
そうはいっても、最近の彼のアルバムは、どれも好きですけどね。
最後までお付き合いありがとうございました。
ビル・エバンスやキース・ジャレットと比較されることの多かったブラッド・メルドーは、他の誰でもない、ピアニスト「メルドーだ」ということ、
そして、「Knives Out」は心地よいぞという、お話でした。
でわ、また。