2016年からポーポーを育て始めました。
これは、ブログにあげたその栽培の記事をひとつにまとめたものです。
ポーポーとはどんな木
ポーポーは、バンレイシ科の樹木です。
バンレイシ科の植物の多くは果実を食用にできますが、亜熱帯から熱帯で生育するものがほとんどです。つまり、トロピカル・フルーツということになります。
ただ、温帯で生育するものが少数存在し、そのうちの一つがポーポーです。ポーポーはそうした温帯果樹の中でも寒さには非常に強い性質を持っているので、日本でも栽培が可能なトロピカルフルーツということになります。
我が家で収穫したポーポー
果肉は薄いオレンジ色でねっとりとした食感で、とても甘く、強い香りを持っています。また、傷みやすいために、仲買人を介する通常の経路では流通しにくくて、生産者との直販で取引されることが多いようです。
春に濃い紫色の花をつけ、秋には黄緑色の果実をつけますが、一本では生りにくい性質を持っているほか、雌しべと雄しべの成熟時期がずれているので、結実しにくいという難点があります。
問題となる病害虫はほとんどなく、薬剤を使用する必要は余りありません。
育てたいと思ったら
そんなポーポーを育てたいと思ったらどうすればいいでしょうか。
種は売っているのを見たことはありませんが、苗は園芸店でよく見ますし、ネットでも購入できます。50cmぐらいの棒苗が多いようです。
実際、私は園芸店に並んでいたポット苗を購入しました。残念ながら、当時の写真が残っていませんが、高さ40cmぐらいの苗でした。
育て方
育て方を指南できるほど知識も経験もありませんが、私はこうしたという話です。
植え付け(2016年秋)
私が購入した苗は、40cmぐらいの棒苗で2016年の春に入手しました。
他の果樹を植え付けるのと同じように、深さ50cmぐらいの植え穴を堀り、底に堆肥を10リットルぐらい入れて植え付けました。
特に支柱は立てなかったように思います。
植え付けて1週間ぐらいは水やりをしましたが、私の地方では、春先適当に雨が降るので、あとは水やりはしなかったと思います。
1年目から2年目のお世話(2016年~2017年)
春に植え付けてからは、特に何もしていませんでした。当時周りでは野菜を作っていたので、株元に化成肥料ぐらいはまいたかもしれんません。
だからというわけでもないんでしょうが、最初の2年ほどは、葉っぱは出すものの主幹はあまり伸びませんでした。最初の頃は根っこを伸ばすのに一生懸命になるらしく、生長は遅いと聞いていたので、そんなものかと思ってはいました。
が、2年経っても10cmほど伸びたぐらいでした。もう根も張り終えてるだろうから、いい加減に、本格的に伸びてくれよというのが正直なところでしたね。
3年目の悪夢と復活(2018年2月)
この年我が地方は、久しぶりのドカ雪に見舞われました。
この雪が解けた春、衝撃的な事実が判明するのです。
庭に植えてあったフェイジョアの枝が雪の重みで、何本も裂け落ちていたこと、そしてポーポーの主幹が根元からポッキリ折れていたことです。
普通もうダメだと思うところです。私もそう思いましたが、我が家のポーポーの栄光ある歴史はここから始まるんです。
折れたのは地上から5cmぐらいのところでした。撤去せずにそのまま残しておいたところ、幹の際から新芽を出してきたのです。そして、あれよあれよという間に、4カ月後の7月には元の高さに戻っていました。
2018年 7月のポーポー
枝が折れたせいで、脇芽が三本伸長しています。この後一番短い左側の枝を切り落としました。お世話と言えば、秋に油粕を根元にまいたくらいです。これは植え付けてからの2年間が無駄ではなかったということでしょう。根張りも終えてエネルギー満タンだったのかもしれません。
4年目、そして5年目の変化(2019年~2020年)
4年目の春、順調に伸長を始め6月には90cmに達しました。
この年も特別なお世話はしていません。消毒っぽいこともしていませんが、虫たちに葉っぱを齧られることもありませんでした。秋には対生していた枝の短い方を切り落として、主幹を一本にしました。ほかの枝は、込み合っているようにも見えますが、剪定はしていません。
翌2020年はさらに伸長し、その高さ150cm。全体を撮った写真が残っていませんでしたが、部分的な写真をみても随分大きくなったように見えると思います。
↑ 2020年10月末
茶色も混じっていますが遠目には黄色に見えるので、ポーポーは秋の紅葉も楽しめるんです。そして、葉っぱの付け根にこのような芽を発見します。
後で確定しましたが、この時はまだ、半信半疑でした。つまりこれがポーポーの花芽なんです。花芽のない葉っぱの付け根はこうなっています。
冬の寒さでどうにかなったりしないかだけが心配でした。
6年目、ついに開花(2021年)
年が明けた3ヶ月、3月の花芽です。
花芽がずいぶんと膨らんでいるのが分かると思います。
このあと4月に入ると徐々に花が咲き始めます。桜のように一斉に咲くのではなく、あちらこちらの蕾が、少しずつ咲いていく感じです。なので1番花が咲いてから最終花が咲き終わるまで1ヶ月ぐらいかかります。
ポーポーの花です。若いときは黄緑色ですが、完全に咲くと紫色になります。
2021年4月8日
2021年4月12日
うまく受粉すれば、花びらを落とした雌蕊が徐々に大きくなっていきます。
これは5月の連休明けの写真です。この写真では3裂しているのが分かると思いますが、一つの花に4つから5つの雌蕊があるので、ちゃんと受粉すると複数の果実が生るようです。
2021年5月6日
参考までに、花の内部です。雌蕊の柱頭が6個、確認できます。全部が受粉すれば6つ房状に果実が生るということになります。
受粉から収穫まで
花弁を落としてからおよそ1ヶ月で果実はここまで大きくなります。残念ながら、複数個生ったものは少なく多くが一つだけでした。もっともこの年は、全部で5つしか生らなかったのですけれども。
2021年6月7日
そのさらに1ヶ月後、7月末の様子です。順調に大きくなっていきます。生理落果のような現象もみられません。
2021年7月23日
果実だけに気を取られていたのですが、実は葉の根元を見ると、昨年秋になって気が付いた花芽が、この時期に既にできているのが確認できました。
2021年7月23日
花芽は前年に伸びた枝の基部から中間部分の節につくということなので、剪定をするときはそのことを頭に入れておく必要があります。つまり先っぽは切っても問題ないってことになるのですが、我が家のポーポーはこの時点ではやっと1m80cmくらいになったばかりでしたから、剪定はしていません。
さて、順調に果実が大きくなってきていたのに、この年の8月9日、台風が我が地方を襲います。台風が去った次の日、案の定、完熟にはまだまだの青いポーポーの実が2つも落果してしまいました。
これはこれで、10日ほど追熟させ美味しくいただきました。そしてこの試練を無事に生き延びたポーポーが自然に落果するのは8月の30日のことでした。
ポーポーは追熟しないと書かれてもいますが、長く置くことで糖度が上がったりしないということだと思います。落ちた時期にもよると思いますが、堅い実はある程度の日にちを置けば柔らかくなって食べられるようにはなります。
自然落果したものは、やはり樹上で黄色く熟すようです。それが冒頭の果実の写真なんです。
果実の断面はこんなふうです。
未熟な果実を追熟して食べた時より、自然落果した果実の方が香りも甘さも上だったのは言うまでもありません。
冬のお世話(2021年~2022年)
これまでは本格的な施肥は、一度もしませんでしたが、実が生ったこともあって、この年は、タキイさんのネット通販サイトに、
油かすと骨粉を混ぜたボカシ肥を、休眠後に施します。その上にマルチングを兼ねて、完熟堆肥を毎年敷きます。
と書かれいたことを参考に、樹冠の円上に3か所ほど穴をあけて、発酵油粕を埋め込みました。
エリゲロンをグランドカバーとして植え込んであるので、完熟堆肥のマルチングはしませんでしたが、今後、もう少し多くの果実が生るようだと、その通りにしていこうかなと思っています。
実を生らせるには
なぜ生りにくいのか
「ポーポーはどんな木」のところでも書きましたが、一本では生りにくい性質を持っているほか、雌しべと雄しべの成熟時期がずれている、という難点があります。
しかしながら、どういうわけか、私のところのポーポーは実が生りました。もちろん人工授粉はしましたが、一本では生りにくいというのが、すべての品種のポーポーについて言えるのかどうか、というのがキモのような気がします。
もっとも私の家のポーポーは品種がわからないので、何とも言えません。
人工授粉はどうしても必要か
人工授粉については「ファーム池の沢」さんのホームページを見ると、
人工授粉が必要ない場合
・複数の品種を栽培している
・花の数が200以上ある
・ハエなどの虫がいる
人工授粉が必要な場合
・木の本数が少ない
・花の数が200以下
・虫があまり飛んでいない
と書かれています。
【保存版】ポポーの育て方まとめ!植え方~接木~剪定~収穫の方法は? | ファーム池の沢
高さが3mから、ときには10mにもなる木を2本も植えることができる人はそういない気がします。しかも木と木の間は5mくらい離す(最低2mでもよいらしい。)のが良いとも言われていますから、ますますできません。私の家では無理です(笑)。
ですから人工授粉するしかないわけですが、花の数が少ないと雄しべが花粉を出す頃には成熟した雌しべが一つもないという事にもなり、どう頑張っても人工授粉はできません。
ただ、私の家では、最初に花が咲いた年には少なくとも50以上の花は咲きましたし、それらが一斉に咲くのではなく、少しずつ時間をずらして咲くので、その心配はないように思います。
人工授粉
私は、人工授粉は、花粉が出始めた雄しべを筆でつつき、その筆で成熟した雌しべをつついて付着させました。雌しべは、開花から数日で成熟するようですが、実際よくわからなかったので、咲いてしばらくたっていそうな花を手当たり次第に筆でつつきました。
花粉はつつくとポロポロ落ちてくるので、ティッシュか何かにたくさん採取して、雌しべにつけてやる方が楽かもしれません。
受粉が成功すると
受粉が成功すると、花びらが脱落しても雌しべが枝についたまま残ります。
1つのモノもあれば5つのモノもありますが、私の家では1つから3つが多かったように思います。
これには4つ付いてます。
こちらは5つです。
収穫への道
さて、受粉が終わると少しずつ果実は肥大をしていきます。後は自然に落ちるのを待つだけです。
ただ、2021年は、1つの枝に1つ2つでしたから、そのままにしておいても、枝が折れたりはしませんでしたが、2022年には1つの枝に4つ5つ生りましたので、そのまま生らせておくのは危険な気がしました。
ですから、雪吊りの要領で支柱を立てて、実のなった枝を固定しようと考えています。順調にいけば、50以上の実が収穫できる予定です。
あくまでも予定です(笑)。
摘果
それから、ネットのサイトなどには、摘果はした方が良い、と書かれています。これまで摘果をしたことはありませんが、先ほどの写真のように、4つ5つと房になった果実は、3つ程度に摘果をした方が良いそうです。
5つしか生らなかった昨年ですと、とってももったいなくて、摘果なんてというところですが、今年のような状況ですと、真剣に考えちゃいますね。果実より枝に悪影響が出るのが怖いです。
ただ、5つとか多めの房になっている果実は、ウチの場合6月に入る前に、自然と生長の悪いものが落ちてしまい、結局1か所あたり2~3個になっていました。
5月~6月の果実
さて、こうして自然にあるいは人工的に淘汰された果実は、その後も肥大を続け、6月の頭ごろには、しっかりとした実になっています。
あとは落ちるのを待つだけです。
最後に
いかがでしたでしょうか?
そんなに手間をかけずに、南国フルーツ作れそうな気がしてきたでしょう?
私にできたのですから、時間さえかければ誰でもできる気がします。
6年から7年、私にとってはアッという間のことでしたね。イチジクなんかに比べれば時間はかかりましたが、8年かかった柿よりは早いですから(笑)。
ぜひ、チャレンジしてみてください。
でわ、また。