モンディアリート(mondialito)。日本語版のウィキペディアに載るくらいだから、知名度は高いんでしょう。ヴォーカルのjunko(さんというらしい)は、フランス在住で、作曲をする笛岡俊哉(さんというらしい)は日本に住んでいるというスタイルらしい。まあ、びっくり。そういうカタチでも創作活動ってできるんですね。
彼女たちは、日本よりむしろ日本以外のアジア圏の方が知名度があるようです。2枚目のアルバム「Avant la pluie」(2004年)に収録されている「notre echec」が、LG電子のCMで使われたことが大きいようです。
この「notre echec」は、あの森田童子の「僕たちの失敗」のカヴァー曲なんです。
あの森田童子といわれても、わからない?
オーマイゴッド!
今から二十数年前、1993年の「高校教師」というテレビドラマを知りませんか?
一世を風靡したあのドラマですよ。映画にもなりましたがね!
知らない?
再びオーマイゴッド!
そのドラマの主題歌だったんですよ。その曲を歌っていたのが森田童子。
でも、彼女はその時すでに音楽活動はしていなかったんです。
彼女が活動していたのは、それからさらに遡ること17年、1970年代の中頃からの8年間なんです。番組の関係者が森田童子を知っていて、それでドラマに使用したとか。
で、その時の「僕たちの失敗」のヒットを僕は複雑な気持ちでみていたんです。
森田童子は、マイナーなシンガーで、本人もどちらかと言えば、派手な活動は好まなかったらしい。ただ、一部に熱心なファンがいて、僕なんかもその一人でした。
おそらく、多くのファンが、自分だけが知っている宝物的な感覚を持っていたのかもしれない。
たまたま、学校の同級生(友達ではない)に彼女を知っている奴がいて、「え、森田童子、知ってるの!」と、びっくりしたことがあります。普通は、同志を見つけたようになって盛り上がるんだろうと思いますが、何か気まずい雰囲気になってしまいました。おそらく、秘密にしていた宝物を公衆の面前に晒されたような気持だったのでしょう、お互いに。
なので、ドラマに使われたことによるブレイクは、再び、昔のような気持を思い出したのです。
このときは、あれほど騒がれたにもかかわらず、彼女が表舞台に出てくることはなかったのですが、2003年にかつての自分の曲をリメイクした曲をリリースしています。いろんな考え方、とらえ方があると思いますが、僕としては、またまた複雑でした。
さて、そんな思い入れの強いこの曲を、モンディアリートは実にうまくフランス語で歌っています。そうなんです。ほとんど彼女らの歌はフランス語なんです。
「notre echec」は、日本語にすると「僕たちの失敗」になるんですね。
junkoの歌声は、ウィスパーボイスというんですか、そういう声なんですが、とても耳に優しいのです。
フランス語の辞書をめくってみると、アルバム名の「Avant la pluie」は、「雨の前」になるのかな。ニュアンスはよくわからないけど。
「notre echec」以外の曲も、なかなか心地よいです。
よろしかったら、どうぞ
森田童子版はこちらのアルバム マザー・スカイ に収録されています。
でわ、また。