ビリー・ホリディという名前を
耳にしたことがない、という人は
そう多くはないと思います。
壮絶な人生を送ってきた人です。
彼女の自伝や物語にした本は
たくさんありますが、
これらを読んでいると
とてもつらくなります。
それがゆえに、
また、にもかかわらず
彼女でなければという歌で
世の人々を魅了したのでしょう。
凄いなと思います。
やはり有名なのは
「奇妙な果実」ですね。
ホリディは1939年の4月に
録音をしています(Wikipediaによる)。
20代の頃の歌声ということになります。
この頃には、すでに
お酒や麻薬に手を出していたそうです。
ビリー・ホリディが亡くなったのは
1959年の7月17日となっています。
下の動画のタイトルには、
1959年とありますから、
それが正しければ直前の歌声ということになります。
聴き比べて、どうでしょう。
作家の村上春樹さんが
イラストレーターの和田誠さんの絵に
文章をつけている本があります。
ポートレイト・イン・ジャズという本です。
1と2が単行本で出版されていますが、
二つを合わせたものが文庫本でも
出版されています。
村上さんはこの中で、
ビリーホリディについて
こんなことを書いています。
若い頃は1930年代から
40年代前半の録音を
良く聴いていたけれども
50年代に入ってからの録音は
意識的に遠ざけていた。
年を取るにつれて、
むしろその時代の録音を
を求めるようになった 。
なぜか?
何が自分に聞こえるようになったのか?
というような話です。
村上さんは、「それはおそらく・・・」と
答えを書いてくださっています。
先ほどの動画はひとつの例ですけれども
この曲に限って言えば
私はどう聴いても
若い頃の歌の方を、
また聴きたいと感じてしまいます。
私の感性では、
重苦しい歌声の中に
何かを感じるということが
できないんでしょう。
多くの曲を長年にわたって
聴いてきたからこそわかるということは
もちろんあると思いますし、
また、だからといって、
聴いた人すべてが、
その境地に辿り着くものでも
ないということですね。
それでも、
そういう感性を持ちたいなあと、
思わずにはいられません。
でわ、また。