冨田勲と言えば、日本でシンセサイザーを世に知らしめた大御所といっても過言ではないでしょう。ところが、実際には、ウィキペディアなどをみても、そこに到達するまでには、なかなか大変だったようです。税関通すのに、キース・エマーソンの演奏写真を使用したくだりには、不謹慎ながら笑ってしまいます。
初めて聴いた彼の作品は、「宇宙幻想」(1978年)というアルバムでした。LPのライナーノーツに、「重低音は再生限界に近いため、十分にプレーヤーの調整を行って下さい。針飛びの原因になります」みたいなことが書かれていたので、針圧を重めにして恐る恐るプレーヤーの針を落としたのを覚えています。当時の僕のステレオセットは、そんな立派なモノではなかった(スピーカーはダイヤトーンのDS-25B)ので、そこまでしなくても針は飛ばなかったのですが、ウーファ―のコーンは、びっくりするぐらい動いていました。十数ヘルツの音でも出ていたのかも知れません。
CD版のライナーノーツではその重低音で「大地の揺らぎを表現した」とあります。
重低音の主は、「ツァラトゥストラはかく語りき」の導入部分なのですが、そもそもがカッコいいのと「2001年宇宙の旅」のイメージの相乗効果で、かなり入れ込んで聴いたものです。
その感動から、もう一枚と手にしたのが「惑星」なのです。
今でこそ、平原綾香の「ジュピター」で広く知られていますが、当時は名前ぐらいは知っていても、曲そのものは、クラッシックファンでなければ聴いたことはないというのが普通だったように思います。僕も、冨田の「惑星」を聴くまでは、オーケストラの「惑星」は聴いたことありませんでしたから。
冒頭で、人間の声のような音を合成しているのですが、これが「一番最初のアルバムの中の(中略)音を使用した。その音をカセットにコピーして富士山の5合目まで行きトランシーバーにより空中に発信したものを伊豆スカイラインで車を走らせながらキャッチした。」ことにより作成されているといいます。要は、実際にトランシ―バーで受信することでほかの電波やノイズを拾うことを利用したというのです(本人の制作メモより抜粋)。たまげた話ではありませんか。
それとですね、当時はホルストの「惑星」は❝編曲が許されなかった❞作品だったのですが、それを合法的に乗りこえてつくられた作品だ(本作のライナーノーツより)というのです。
この二つの話を知っただけでも、このアルバムがトンでもないものだと感動したのも仕方のないことだと思いませんか。
ですから、今回は、このアルバム全部が、心地よいといいたいのです。もっとも、5つのタイトルはついているものの、切れ目なく楽しめますし、 低音も結構でてますよ。
2チャンネルでも、相当の広がりを感じれます。
↑Blu-spec CD2
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シンセサイザーの定位って、サラウンドにぴったりだと思います。
冨田勲 - The Planetsが心地よいというお話でした。
でわ、また。