京都に聖護院門跡という
お寺があります。
これまでは、予約をしないと
拝観できなかったらしいのですが、
秋の特別公開をやっている
ということで、
何も知らずに行ってきました。
恥ずかしながら、
門跡が寺格を表しているとは
まったく知りませんでした。
このお寺で、たまたま
職員さんの説明を聞いて
勉強させていただいたところです。
門跡というのは、
皇族・公家が住職を務める特定の寺院
をいうんだそうですね。
聖護院の場合は、
後白河天皇の皇子である
静恵法親王が入られてから
門跡寺院となったということでした。
法親王というのは、
僧籍に入った男子皇族が
その後に親王の宣下(せんげ)を
受けたときの
名称なんだそうです。
聖護院が、聖体護持から
きているというのも、
このときに知りました。
お話によると、
開基(お寺の創始者)の
増誉というお坊さんが
白河上皇の熊野詣の
案内役を務めたことから、
「聖体護持」の2字をとって、
聖護院となったのだそうです。
その後、お寺は
たびたび火災に見舞われ、
何度か移転を繰り返したのち、
江戸時代前期に
後水尾天皇の皇子、
の道寛法親王が
この場所に再興した
ということです。
お寺の成り立ちなどを
説明していただいたあと、
順に内部を案内してくださいました。
お寺のパンフレットによる
全景です。
原則、写真撮影は禁止でしたので、
あまり枚数はありませんが、
少しだけご紹介したいと思います。
宸殿前庭です。
前庭の模様は
「市松模様」と
紹介されているものを
いくつか見かけますが、
私が見たときは
ストライプになっていました。
この宸殿というのは、
門跡寺院特有の建物で、
法親王が実際に
居住していたのだそうです。
「宸」は天皇を意味する
文字だということです。
写真は、入口横の門から
宸殿を撮ったものです。
正面奥に見えるのが本堂です。
そういう建物なので、
15を越える部屋があり
襖には、狩野永納、益信の手による
絵が描かれています。
波の間、孔雀の間、太公望の間などの
写真は、撮影できませんでしたが、
(聖護院のHPに掲載されています。)
一番奥の角の部屋は
撮影可能でした。
前庭側から見た、
上段の間(一番奥の部屋)です。
二の間との間の欄間は
「筬欄間」(おさらんま)と
いうそうです。
面白いのは、ココ。
先ほどの写真を拡大したものです。
隅っこに穴が開いています。
なんと、ネズミが出入りするための
穴なんだそうです。
下手に噛じられるより・・・
ということなのだそうですよ。
ネズミがいることを
前提にした対応ということで、
当時としては当たり前
なのかもしれませんが、
現代からすると
新鮮な考え方のように思えますね。
三の間にも、
見事な襖絵が書かれています。
この時代、スマホはおろか
雑誌すらありませんから、
お客さんが待っている間
暇をもて余さないように、と
そういう意味が、あるのですよ
というお話でした。
二の間の襖絵です。
四季花鳥図といって、
狩野益信の作です。
側面から見た上段の間。
ここは、正式な対面の間として
使用された場所で、
光格天皇が聖護院を
仮御所とされたときにも
お使いになられたとのことでした。
宸殿と本堂の間にあるお庭。
重要文化財の書院です。
書院には、
二の間にも床の間があり、
上座を作らない造りに
なっているとのことでした。
内部は撮影禁止でしたので、
パンフレットの写真を
載せておきます。
手前が二の間で、左側に
床の間がありますね。
そんなこともあって、この部屋では、
自由な会話ができたのだそうですよ。
門跡内には、狩野派の襖絵が、
本当にたくさん(150面以上)あり、
これほどの数を
近くに見ることのできるお寺は
大変貴重だと思います。
また、このお寺は、
修験道の本山でも
あったのですが、
それを証するかのように、
ホラ貝が、さりげなく
置いてあったのが
印象的でした。
しかも、
「ご自由にお吹きください」
でしたから・・。
写真はありませんので
あしからず。
十六葉八重表菊のあしらわれた
金具なども、門跡の
格式を表しているのですかね。
そのほか、不動明王の
ことを少し教えていただきました。
宸殿には不動明王が三体、
安置されているのですが、
その背負っている炎は、
迦楼羅焔(かるらえん)
というのだそうです。
迦楼羅というのは、
インドの神話に登場する巨鳥です。
俗に言う「ガルーダ」ですね。
その鳥の形をした炎は、
怒りを表しているとのことですが、
製作された年代が新しいほど
この炎の形がはっきり鳥のように
見えるのだそうですね。
不動明王の写真は、
聖護院のHPに掲載されています。
ご覧になって比べてみては
いかがでしょうか。
説明を聞くと聞かないのとでは、
印象が全く異なるものなのだなあと
しみじみ思いました。
大変面白い経験でしたね。
でわ、また。