長谷川路可という
画家がいるのですが
ご存知でしょうか?
美術愛好家でない限り
ご存知ないのが
実際のところかと
思います。
とはいっても、
旧国立競技場の玄関などに、
作品が設置されていましたので
作品をご存知の方は
多いのかもしれません。
日本画、洋画のほか、
フレスコ画やモザイク画なども
やってらして、
そちらの方面では
有名な方ではあります。
そんな方の名前を、
何故私が知っているのか。
それはね、
「路可」書かれた
「衝立」(ついたて)が
我が家にあるからです。
こんな画ですな。
落款はこれです。
この「路可」という名前から
長谷川路可という人に
なんとかたどり着きました。
うそです。
Googleで「路可 画」と打ち込めば
すぐに「長谷川路可」という名前に
巡り会えます(笑)。
「路可」という名前は
彼がキリスト教に入信した際の
洗礼名にちなんだものだそうです。
「ルカ」を漢字で
充てたものですね。
長谷川路可について、
少しご紹介しましょう。
路可は1897年に、
東京で生まれ、
杉村龍三と名付けられました。
10歳の時、両親の離婚により
母方の姓である長谷川を
名乗ることになります。
15歳の時には、
第1回院展に出した
水彩画「浜辺にて」が入選、
16歳の時に、受洗し、
洗礼名ルカを授かります。
その後、東京美術学校
(現在の東京藝術大学)に進学、
卒業後はヨーロッパにおける
洋画の修行や敦煌西域壁画の模写、
フレスコ画の修行などを経て
29歳の時に帰国します。
その後は、日本を拠点に
さまざまな芸術活動を
行っていきます。
1954年に完成した
チェヴィタヴェッキアの
壁画は特に有名です。
映画「マダムバタフライ」の
タイトルバックも
路可の作品だそうです。
1967年にローマで
死去しました。
さて、先ほどの衝立の画の
真贋はさておき(贋なんだろうけど)、
元の画があるのだろうかとか
落款はどうなのだろうかとか
気になったので、ちょいとだけ
調べてみようかなと
思い立ったのです。
今、図書館で借りてきた
「長谷川路可画文集」という本を
目の前にしています。
わたスは、あまり図書館で
本など借りないのですが
イマドキの図書館は
横の連携がうまくできているのですね。
住所地の図書館に無い本でも、
よその図書館(県内とか
提携図書館とかの制限は
あるようです。)に収蔵があれば
居住地の図書館の窓口で
借りられるんですよ。
知らなかったです。
ということで、この本は
よその図書館から
取り寄せてもらいました。
で、似たような画がないか、
あるいは、落款がないか、
調べてみたのです。
壁画や洋画は、
カラーで掲載されていましたが、
日本画は小さな
モノクロ図版が多く、
なかなか判別が困難でしたし、
似たような絵というモノも
見つかりませんでした。
そんななか、1枚の画に
こんな落款があったのです。
1941年に描かれた
「感ずべき御母」という
日本画です。
さらに拡大してみましょう。
路可の下にある二文字が
余計ですが、
印は似ているような気がします。
まあ、そういうことで
誰が真似たにせよ、
この衝立の画は、
長谷川路可という
人物あってのモノ
ということですね。
座敷の目隠しとして
使っているのですが、
こういうものも
なかなかいいもんですよ。
でわ、また。